いやあこれは一本取られた。6/4の書き込みでアメリカン・アイドルの話をした時、今年の優勝者のテイラー・ヒックスの曲「Takin' It To The Street」がHot100のえらい下の方で登場、「この調子でいくとこれまでの優勝者が必ずトップ2に入っていたパターンを外す可能性大だねえ」と書いた後、案の定2週後にはHot100から消えていたので「やっぱりね」と思っていた。ところが今週いきなり同じシングルのカップリングになっている「Do I Make You Proud」が堂々初登場1位。歴代アメリカン・アイドルの男性優勝者(ルーベンに次いで2人目)で初のHot100No.1を記録してしまったから(「This Is The Night」で1位になったクレイ・エイケンは準優勝者)。僕がこのコラムで憎まれ口叩いていたのが聞こえたのかしら、と思うほどのこの突如のチャートアクションは、どうもCDシングルの発売に伴う売上(週間19万枚)とデジタル・ダウンロード(週間3.8万ダウンロード)がタイミングよく重なったのが原因のよう。やっぱりシングル出さなきゃダメじゃーん、とシングル擁護者としては言っておこう。ちなみにこの19万枚というのは、ケリクラの「A Moment Like This」(23.6万枚)には及ばないものの、キャリー・アンダーウッドの「Inside Your Heaven」(16.9万枚)やファンテイジアの「I Believe」(14.2万枚)を軽くしのぐ枚数だからやはりアメ・アド人気は未だ健在ということか。今週この曲の勢いのおかげか、一度チャートからこぼれ落ちてしまった「Takin' It To The Street」も94位に再登場しているから勢いというものは怖い。ちなみに曲の方はちょっと70年代の香りのする極めてオーソドックスでメインストリームなポップ・バラード。こういう人畜無害な“安心できる”ヒットもまあたまにはチャートには必要だね。プロデューサーはアブソリュートとD.ウェイ、作者はP.ウィルソン、A.ワトキンスそしてT.アッカーマンの3人。しかしこの曲のいきなりの登場で赤丸ながら3位に押し下げられてしまったネリー・ファータド嬢はちょっと不運。来週挽回して1位を獲得なるか?
今週はこれ以外にもトップ10が面白くて、今週トップ10圏外の15位から一気に6位に飛び込んできたのがナールス・バークレー(Gnarls Barkley)というユニットの「Crazy」。この曲実は既にUKでは4/2付いきなり初登場1位の後9週間もトップに居座り続けたモンスターヒット。日本のFM洋楽チャートでも結構人気を呼んでるようです。UKチャートって純粋セールスチャートで、しかもアメリカみたいにマーケット大きくないんで、シングル首位ってころころ変わるのが日常の中、9週もトップというのは何と1994年のウェット・ウェット・ウェットのあの大ヒット(映画『』にも使われてた)「Love Is All Around」(15週間1位!)以来というから久々のメガヒットということで年間1位はほぼ堅いところ。このナールス・バークレー、実はあのヒップホップ・プロデューサーのデンジャー・マウスと、アトランタの怪人ラップ団、グッディー・モブのシーローが組んだユニット。あのシーローの変態ふぁるセット系ボイスがデンジャー・マウスの醸し出すちょっと昔のホット・チョコレート風のいなたいトラック(わっかるかなー)に乗ってえも言われぬグルーヴを醸し出しているのがこの曲。全米ではトップ20どまりかな、と思ってたら意外とのしてきたね、これ。場合によってはトップも狙えるかもよ。あともう一曲今週のトップ10に25位からどーんと飛び込んで来たのは先週も触れたラスカル・フラッツの「Life Is A Highway」のカバー。彼らのこれまでの最大のヒットは、この間大ジャンプアップで話題を呼んだ「What Hurts The Most」の6位。「Life Is A
Highway」のオリジナルも最高位6位ということで、この6位の壁を越えられるか?ちなみに今週のトップ40初登場曲はテイラー・ヒックス君のみ。1位初登場のみがトップ40初登場、なんてパターンこれまでなかったのでは?史上初かも。一方圏外の今週の話題といえば44位に初登場してきているビヨンセとジェイZの新曲「Deja Vu」。あれ?ジェイZって引退したんじゃなかったの?今はデフジャムの社長じゃなかったっけ?と思ったんだけど、話によるとこの夏UKツアーを予定しているというからよく判らん。やっぱあんだけの大物がそうそう簡単に引退できるわけないということかね。話を戻して、この「Deja Vu」、まだiTune MSにはアップされてないみたいだけど、ここ↓で試聴できます。
http://www.jalive.com.jm/DigitalMusic.asp?strmArtist=Beyonce&ftr=Jay-Z&strmTitle=Deja%20vu
彼女の9月発売の新作『B'Day』からの先行シングルらしいけど、待望の新曲に相応しく、がっちりとしたトラック作りでパンチ溢れるビートに乗ってビヨンセが気持ちよさそうに歌うメインストリーム路線全開のヒップホップ・ソウル・トラックですね。ジェイZのフロウも久々という感じで軽々とやってます。来週これ、かなり上に来るかも。
今週もHot100の50位まではここ↓でチェックしてね。
http://www.billboard.com/bbcom/charts/chart_display.jsp?g=Singles&f=The+Billboard+Hot+100
依然今週も2週目の首位をキープしたシャキーラ+ワイクレフ・ジャンの「Hips Don't Lie」ですが、そのすぐ下にスルドク迫っているのがネリー・ファータド嬢がティンバランドと組んだ新曲「Promiscuous」。この曲既にiTune MSでは堂々ダウンロードトップに居座っているので、早ければ来週にもネリー嬢初の全米No.1が実現するかも。あのトリップ・ホップ入ったドリーミーなポップ・ヒット「I'm Like A Bird」(最高位9位)と女ベック的なミクスチャー・アルバム『Whoa, Nelly!』(2000)の鮮烈なデビューから6年ぶりにリリースされたこのアルバム、ティンバランドと組んだということで異色の顔合わせ、ということで話題を呼んでますが、彼らのアルバム作りはまずお互いが影響を受けたCDを持ち寄っていろんなアイディアを出し合うことから始めたというなかなか親密なもの。特に2人が好きだった80年代の話で
かなり盛り上がったとか。その中でも意見が合ったのは「ユーリズミックス最高!」と言う点で、スタジオでは冗談でお互いのことをアニー、デイヴィッドと呼び合っていたとか。確かにそうして聴いてみるとこの「Promiscuous」もいかにもポップスターとヒップホップ・プロデューサーがやりました的な感じはあるものの、80年代っぽいシンセリフが結構懐かしかったりするし、UKでのシングルで今週全英No.1に輝いた「Maneater」(ホール&オーツのカバーではない)も何やら「Sisters Are Doing It For Themselves」風のカッコいいナンバーだったりする。この「Maneater」はJ-Waveの洋楽チャートでも既に1位になっており、概ね今回のネリー嬢の新作『Loose』は日米英を問わず評判がよいようだ。アルバムの方もきっと上位に初登場するんだろうな。
さて今週のトップ40初登場曲は3曲。その先陣を切っているのが今週Hot100デビューにしていきなり19位初登場という、まもなく発売のクリスティーナ・アギレラ待望の新作『Back To Basics』からの先行シングル「Ain't No Other Man」だ。さっきポップ・スターとヒップホップ・プロデューサーの顔合わせという話題が出たが、今回のアギレラの新作ではこの曲を含む5曲で、あのDJプレミアと組んでいるというので現在俄然話題沸騰中。プリモことDJプレミアといえば90年代ギャング・スターとかデルー・ザ・ダメージャ等硬派なストリート・ヒップホップにおけるクールで切れ味鋭いプロデュースワークで知る人ぞ知るサウンド・メイカーで、その後ノトーリアスB.I.G.、ナスやジェイZとの仕事でも知られる超大物。そのプリモも今回のコラボの話が合った時は「だいたい何でアギレラが俺のこと知ってるんだ?」とさすがに驚い
たとか。アギレラとしては今回のアルバムを20〜60年代にかけてのジャズ、ブルース、R&B、ソウルといった彼女の音楽的ルーツを下敷きにした作品にしたいと思っていたところ、ギャング・スターの「Jazz Thing」を耳にしてそのプロデューサーだったプリモに白羽の矢を立てたということらしい。「Ain't No Other Man」はそのプリモのブレイク・ビーツのループをバックにかなりのアップテンポなグルーヴをたたき付けるようなアーバン・トラックに仕上がっている。彼女大ヒットは数多いものの、トップ40内でいきなりHot100デビュー、というのは今回が初めてだから曲の勢いが凄いことは間違いない。あとは他の曲がどのように仕上がっているかが気になるが、ポップスターという枠に自分を押し込めることのないアギレラのこと、結構刺激的な作品になっているのでは。期待しよう。プロデューサーは勿論アギレラ+DJプレミア、作者はその2人+K.ディオガルディ、C.M.ローアン、H.ビーティ。
2曲目のトップ40入りはカリフォルニアはユーカイアで1991年に結成されたハードコア・パンク系4人組のAFI(A Fire Inside - “内なる炎”という意味らしい)初のトップ40ヒットとなる「Miss Murder」が圏外43位→24位と大ジャンプアップで登場。この曲を含む彼らメジャーからの2作目となる『Decemberunderground』は今週アルバムチャートでディキシー・チックスを蹴落として見事初登場1位を記録。前作の
メジャーデビュー『Sing The Sorrow』(2003)がアルバムチャート5位を記録しているので、着実にメジャーバンドへの道を歩んでいるといえる。スタイル的には一足先にブレイクしてよりメインストリーム色の強いグリーン・デイあたりと共通する部分もかなりあり、今回のこの曲も判りやすいリフ、合唱しやすいコーラスなど大ヒットへの要素をしっかり備えている辺りは前作から更にメインストリームを消化しながらバンドとして成長している様子も感じられる。プロデュースはグリーン・デイやブリンク182等も手がけてこの手のサウンドでは定評のあるジェリー・フィン、作者はバンド全員だ。
今週もう一曲圏外59位→25位と、大ジャンプアップでトップ40に駒を進めてきたのは、先週全米でもついに公開、最初の週末の興行成績が6,000万ドルと早くもメガヒットの兆しを見せている、ピクサー/ディズニー合併後最初のアニメ作品『Cars』のサントラからのシングルで、只今絶好調のカントリー3人組、ラスカル・フラッツによる1992年トム・コクランの大ヒット「Life Is A Highway」(オリジナルは最高位6位)のリメイクヒット(ああ長い)。公開前は、ストーリーが平凡で面白みがないとか、登場する声優がポール・ニューマンは別としてオーウェン・ウィルソン(リメーク版『Starsky & Hutch』のハッチ役)とかボニー・ハントとかで今いちだとかいろいろ言われていたこの『Cars』だが、いざ蓋を開けてみると『トイ・ストーリー』『バグズ・ライフ』『ファインディング・ニモ』『モンスターズ・インク』『ジ・インクレディブルズ』といったピクサーのメガヒットの系譜をしっかり引き継ぐ大ヒットになりそうで、まあスティーヴ・ジョブスも笑いが止まらず、といったところだろう。この曲を含むサントラの方も今週アルバムチャートで7位初登場とこの手のアニメ・サントラにしてはかなり人気を集めている。きっとウォル
マートとかコスコといったメガ・リテーラーでガンガンに売れてるんだろうなあ。で、肝心の曲だけど、ラスカル・フラッツのこと、こてこてのカントリーアレンジで来るかと思いきや、結構重厚なギターストローク・リフを使ったりして、あのちょっと間抜けな鼻にかかったボーカルがなければ「おっ、ZZトップか?」と思わせなくもない厚い作り込みになっててやや意外な感じで、それこそ中西部当たりでハイウェイをぶっ飛ばすには心地よさそうな出来になっている。プロデュースは最近のポップ・カントリーでは欠かせないダン・ハフとラスカル・フラッツの3人、作者は勿論オリジナルのトム・コクラン。
さて今週の圏外の話題は、2000年の『War & Peace, Vol.2 (The Peace Disc)』(最高位3位)以来6年ぶりの新作『Laugh Now, Cry Later』が今週見事にアルバム・チャート初登場で4位と素晴らしいカムバック(?)を果たしている90年代ヒップホップの大御所、アイス・キューブの新曲「Why We Thugs」がHot100の92位に初登場していること。2000年代に入った前後から『アナコンダ』(1997)でのジェニロペとの共演を皮切りにジョージ・クルーニーと共演の『Three Kings』(1999)、ギャングスタ・ラッパーらしからぬペーソス溢れる演技が話題を呼んだ『バーバーショップ』(2002)、さらにはウィル・スミスの向こうを張ってか『xXx: State Of The Union』(2005)ではとうとう近未来SFの主役を張るなど映画俳優業への傾斜度が一気に強くなったキューブが果たしてヒップホップ・シーンに戻ってくるのか?というのが80年代以降ウェッサイ系を追っかけているヒップホップ・ファンの関心事だったわけだが、今回のアルバムの受け方や、トラックの評判を聞く限りはその心配は取りあえず杞憂のようで、結構きっちりした出来上がりらしい。個人的にはNWA時代もさることながら「It Was A Good Day」とかのクールなキューブも大好きなので、そういう感じで復活してくれてるといいなあ、と思うことしきりでした。
今週のトップ40入りは2曲。1曲は45位→38位に入ったチェリッシュ・フィーチャリング・ショーン・ポール(ヤングブラッズ)の「Do It To It」。女性ヒップホップ・ソウル・シンガー、チェリッシュの素性は今のところ不明なんだけど、ちょっとお笑い系のマスクながら(笑)涼しげな声で軽ーくショーン・ポールのラップをバックに歌う彼女の歌はなかなか耳に心地よいです。プロデュースはD.ヴィトーとチーズ、作者はF. キング, N. キング, R. リチャード, J. ウィリアムス, S.P. ジョセフ。
もう1曲は48位→39位に登場のラトーヤ(LeToya)の「Torn」。ラトーヤといってもプレイボーイ誌でヌードを披露していた(古い!)マイケルのお姉さんじゃないし、「Torn」といってもあのナタリー・インブルーリアのさわやかヒットのカバーでもない。このラトーヤは、ラトーヤ・ラケット(LeToya Luckett)であのデスチャのオリジナル・メンバーの一人で2ndの『Writing On The Wall』まで在籍、ミシェル・ウィリアムスと入れ替わりに脱退したあのラトーヤです。この「Torn」はまたあのスタイリスティックスの「You Are Everything」という大ネタを全編ループ使い+コーラス歌い直し、というやや反則気味の内容。でもやっぱネタもいいし歌もなかなかだからかなりいいんですわ、これ。今週エアプレイのGreatest Gainerも獲得、これ確かにR&Bファンは飛びつく出来。デスチャも解散したし、ラトーヤ、反撃!というところか。彼女の麗しい容姿をもっとアップで、という方は
5/31に5シーズン目の『American Idol』のファイナル発表があった。何と優勝したのは、若白髪のオッサンタイプのTaylor Hicks。はっきりいって映画『ウェディング・シンガー』に出てきそうな感じのベタな奴だが、今シーズン通して番組見てるわけではないのでどういう要素がアピールして選ばれたのかの分析は、他の熱心な視聴者の方に委ねよう。
「Takin' It To The Street」が69位に初登場してるが、同じ5th Seasonのファイナリストから、禿頭のロッカー、Chris Daughtry(クリス・ドートリー)によるボン・ジョヴィのカバー、「Wanted Dead Or Alive」が43位に初登場、来週にもトップ40入りを狙える位置につけている。テイラーがシーズン中歌ってた歌がエルトン・ジョンの「Levon」とか、クインシー・ジョーンズの「Just Once」とかかなりベタな選曲だったのに比べ、クリスの方はフューエルの「Hemorrhage」とかスティーヴィー・ワンダーの「Higher Ground」とか、クリードの
「What If」とか結構硬派な選曲でロック好きの視聴者をうならしていたようだ。確かにこのシリーズ、そろそろマンネリに入りかけているので、こういうContestantもいいと思うし、優勝させてやってもよかったのかも。2人の子どもと子宮摘出手術を受けた奥さんが応援してる、なんてエピソードも結構泣かせるしね。でも結局バー・シンガーみたいなテイラーに落ち着く当たりがこのショーの限界か。